アブラハム、墓地を買う

2023年7月2日(日) 第一主日礼拝

宣教者 高見龍介牧師

創世記 23章 1~20節

アブラハムの妻サラは127才で亡くなりました。彼女を手厚く埋葬するため、アブラハムは墓地探しに出かけます。地元ヘト人と交渉し、墓地にするための土地を借用するのではなく、購入することを願い出たのです。では、なぜアブラハムは土地を購入することにこだわったのでしょうか? その理由として、①サラを異邦人の地に埋葬することで、彼女の存在を忘れてしまわぬようにするため。すなわち、今後生まれてくる子孫たちの記憶からも、その存在が忘れ去られないようにするためであったのです。②異邦人は、このヘト人に代表されるように外見は丁寧、温厚のようであっても、その中身は自己中心で己の利益ばかりを求めている。真の神(愛)を知らないがゆえに数々の罪にまみれて生きている。そんな罪にまみれた世界の中に最愛の妻サラを留めておくことは、アブラハムにとってはとても耐えられないことであったからなのです。以上、2つの理由から、サラを異邦人の土地に眠らせて、過去の人として忘れた存在にしてしまうのではなく、アブラハム一族の土地、それすなわち、神の民の土地、神の愛の中で彼女を眠らせることで、その子孫も彼女のことを追憶することができ、またそうすることで、彼女の人格が子孫と共に永遠に生き続けることになると考えたがゆえに、彼は土地の購入にこだわったということなのです。
このように、永遠にサラと共にあるために、土地を一途に求めたアブラハム。しかも、それらの土地を無理やり強奪したのではなく、あくまでも謙虚に誠実に相手と交渉し、平和裏にその目的を達成したアブラハム。さらには銀400シェケルという法外な代価を払ってまでもサラを愛の中に買い戻そうとしたアブラハム。このアブラハムの損得を抜きにしたサラへの愛情、その真剣さと誠実さは筋金入りだったということなのです。

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