Love, Peace, Travel

2020年10月4日(日) 第一主日礼拝

宣教者 高見龍介牧師

マタイによる福音書 5章9節

今から60年ほど前、アメリカでキリスト教を布教した伝道者に淵田美津雄という方がいました。彼は次のような言葉を残しています。「無知が無理解を生み、無理解は憎悪を生む。そして憎悪は戦争を生む」と。つまり、「相手を知らないこと、知ろうとしないことが相手への無理解、誤解を生み、それらの誤解は差別、偏見、憎悪を生んでいく。そしてそれらの歪んだ感情は、戦争という殺戮行為を生み出していくのだ」と語っているのです。
何を隠そうこの淵田先生は、1945年12月8日、太平洋戦争を勃発させた日本海軍による真珠湾奇襲攻撃、この作戦の指揮を執り、自らもゼロ戦に乗って「トラ、トラ、トラ、ワレ奇襲二成功セリ」と日本に打電したあの淵田美津雄海軍中佐その人であったのです。彼は太平洋戦争を生き抜き、戦後キリスト者となって、かつての敵国アメリカでキリスト教を伝えた人ですが、あの悲惨な太平洋戦争の体験者だった(彼は戦争加害者として懺悔の念に駆られていた)からこそ、彼の言葉は真実の言葉として私たちの心に響いてくるのではないでしょうか。
淵田先生は「戦争」が生じる原因を、相手に対する「無知、無理解」にあることを指摘していますが、では、その反対に「平和」が生じる要因を言葉にしたら、どのような表現がふさわしいのでしょうか。私はその表現の一つとして、「Love, Peace, Travel」という言葉を挙げたいのです。この言葉は、私のオリジナルの言葉ではなく、今や日本を代表する旅行代理店にまで成長したH.I.Sのキャッチコピーであり、H.I.Sの創業者である澤田秀雄会長の言葉なのです。旅好き青年として、若き日に世界中を駆け巡った澤田会長によれば、「Travelによる出会いこそが、相手に対する理解を生み、相手を知ることで、その人のことがLove(好き)になり、その愛は相手との間にPeace(平和)を打ち立てていく」と言うのです。キリスト者ではないにしろ、澤田会長がおっしゃっていることは、淵田先生と全く同じであり、「Travel」による真の出会いこそが、「無知、無理解」を克服せしめ、真の「平和」を実現させていくのだと語っているのです。

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