愛と老人の旅立ち

2021年11月14日(日) 第ニ主日礼拝

宣教者 高見龍介牧師

創世記 12章1〜5節

神様から「全世界の人々を祝福に入れなさい」との使命を受けたアブラムは、その御言葉に従い、神様が示されたカナン地方に向かって旅立ちました。この時アブラムの年齢は75歳、まさしくその出立は「愛と老人の旅立ち」であったのです。アブラムという老人を召し出された神様。「こんな老人に一体何ができるのか?」、現代業績主義社会の中に生きる私たちには、神様のなさることがとても不思議に映るのです。しかし、そのような固定観念を見事に打ち砕いてくれるのが、サムエル・ウルマンの「青春」という詩であるのです。

青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方をいう。
バラの面差し、紅の唇、しなやかな手足ではなく、
たくましい意志、豊かな想像力、燃える情熱をさす。
青春とは人生の深い泉の清新さをいう。
青春とは臆病さを退ける勇気、安きにつく気持を振り捨てる冒険心を意味する。
ときには、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。
年を重ねただけで人は老いない。理想を失うとき初めて老いる。
歳月は皮膚にしわを増すが、熱情を失えば心はしぼむ。
苦悩・恐怖・失望により気力は地に這い精神は芥となる。
60歳であろうと16歳であろうと人の胸には、驚異に魅かれる心、幼な児のような未知への探求心、人生への興味の歓喜がある。君にもわれにも見えざる駅逓(乗換駅)が心にある。
人から神から美・希望・喜び・勇気・力の霊感を受ける限り君は若い。
霊感が絶え、精神が皮肉の雪におおわれ、悲嘆の氷にとざされるとき、20歳であろうと人は老いる。
頭を高く上げ希望の波をとらえる限り、80歳であろうと人は青春にしてやむ。

神様から愛の霊感を注がれたアブラム。その心の中には、愛なる神様への信頼と期待、さらには全世界の人々を救いに導くという崇高な使命に支えられ、臆病さを退ける勇気と安きにつく気持を振り捨てる冒険心が芽生えていたのです。75歳にして頭を高く上げ希望の波をとらえて歩み出したアブラムの「後期高齢者人生」、それはまさしく「愛と青春の旅立ち」であったのです。

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