小さな正義

2022年3月20日(日) 第三主日・15の春感謝礼

宣教者 岡村直子牧師

ヨハネによる福音書 6章1〜15節

本日の礼拝は、こひつじ幼稚園を卒園して15才になる方々や当時の教職員の方々を、オンラインでお招きしての礼拝となりましたので、今日の聖書からのお話は15才になる方々に向けて語らせていただきます。
選ばせていただいた聖書個所には、五千人の人々に食べ物が配られて、一緒に食事をしたという奇跡が起こったことが記されています。この奇跡は他の3つの福音書にも書かれています。でもヨハネによる福音書では、「ここに大麦のパン五つと魚二匹とを持っている少年がいます。」(9節)という言葉があるのが他の福音書とは違うところです。イエスの話を聞くために群衆が集ってきたわけですが、そこには子ども連れもいたでしょう。何時間かかるかわからないことのために出かける時、お弁当を持参で出て行くことが習慣になっていたなら、この少年の他にもお弁当を持っていた人はたくさんいたはずです。少年のお弁当を弟子が無理矢理奪ったことは考えにくいので、その少年が自らすすんで持っているものを差し出したのでありましょう。この小さなささげものは、客観的に見れば“なんだこんなものぐらいで何の役にたつか”と思うものかもしれませんが、主イエスはそこに少年の正直な義というものをお感じになったのではないかと推測します。正直に差し出したその心を主は祝福されたのでした。そしてそれを用いて5千人プラス女性たちと子どもたちを含めた大勢の人々が満ち足りるほどの食事会となったのでした。これは未来の神の国での食卓を連想します。
嘘がはびこる世の中です。すごく気軽に嘘をつく世の中になっている気がします。でもなるべく小さなことにも正直でいるようにしませんか? 正直者は馬鹿をみる、と言われますが、神は隠れた小さな正直な義に目を留められます。そしてそれを用いて世界を祝福されるのです。主イエスが苦しみながらも正直に神の子としての使命を最後まで果たされたことによって、私たちは神から見棄てられない者、愛される者となっています。どこに行ってもこの神とずっと一緒にいられますように。

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