神 その愛

2022年7月17日(日) 第三主日礼拝

宣教者 高見龍介牧師

創世記 15章7~21節

創世記15章には、アブラムが神から「子孫繁栄」の約束と「土地授与」の約束を受け、両者が互いにその契約を交わす場面が記されています。アブラムの側には神の言葉に従順に従い、神の人類救済計画のために奉仕するという契約義務があり、神の側にはアブラムを苦難から救い、子孫を繫栄させ、土地を与えるという契約義務がありました。もしこの「双務契約」を破った場合、契約締結時に用いられた動物のように真っ二つに切り裂かれ、死の報いを受けなければならないという内容が、この契約に盛り込まれていたのです。
しかし、この契約締結の際、アブラムは「土地授与」を約束した神の言葉を信じ受け入れることができず、「証拠を見せてください」との不信の言葉を口にしてしまったのです。この時、アブラムは神の言葉に疑いを抱き、神の要求に応えようともせず、「不義」に生きようとしていました。アブラムが不信に凝り固まって、人類救済計画のために前進しようともせず、その契約義務を怠るならば、彼は真っ二つに切り裂かれなければならなかったのです。しかし、彼は死の報いを受けることがありませんでした。それは、この契約が「双務契約」として結ばれたからではなく、神からの一方的な「恩寵契約」として結ばれていたからであったのです。
アブラムを始めとする人間の側に、契約に順じた状態、資格、業績を何ら見出せなくても、どんなに私たちが「不義」、「不信」をくり返し、神に対して果たすべき義務を怠ろうとも、それら全ての障害を乗り越えて、神はご自身の約束と義務をお果たしになられる。全人類への救済とアブラムを苦難から解放し、子孫と土地を与えるという祝福を貫徹されるのであり、これがこの15章に記されている神の「恩寵契約」の全容であるのです。

コメントは利用できません。