2022年1月16日(日) 第三主日・成人感謝礼拝
宣教者 岡村直子牧師
ルカによる福音書 10章38〜42節
成人になられた方々、そして見守りながらお育てになった保護者の方々に、お祝い申しあげます。おめでとうございます。コロナ危機が再び深刻になってきた中での成人感謝礼拝となりました。今日はルカによる福音書のいわゆる“マルタとマリア”と称されているところから選ばせていただきました。イエスの一行が彼女たちの家を訪問したときのことでした。マルタはもてなしのためにせわしく立ち働いていましたが、妹のマリアは主イエスのそばに座って、話に聞き入っていました。
マリアがもてなしのために自分のように動かない様子にマルタはいらだち、話をしていた主イエスにマリアのことで文句を言いました。主イエスからマリアに手伝ってくれるように言って下さい、と。すると主イエスは、マルタをはじめその場にいた人々が思いもよらなかったことを言われたのです。「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。」(10章41-42節)
当時の常識を超えたイエスの言葉です。女性は数にも入れられなかった時代で、マルタの動き方が自然なものでした。マリアが主イエスのそばにどっかりと座り込んで話を聞く様子を批判していたのはその場にいた全ての人びとだったでしょう。
女性であることに対する社会の役割や期待があるわけですが、それをはねのけて、マリアが自分を主張できたのは、イエスの言葉を聞くことによってでした。マリアは他のどんなことにもまさって、イエスの言葉をじっと聞かずにはいられなかったのです。それがマリアの喜びとなっていたからです。今日の話は単なる女性の話ではありません。社会の中で昔も今も、様々な差別がある中で苦しむ人々は少なくありません。成人となり、自立していくことと、神の言葉に聞くことの関連についてご一緒に思いめぐらせていきたいと思います。