逃げ場のない危機の中で

2021年9月19日(日) 第三主日礼拝(オンライン)

宣教者 岡村直子牧師

マルコによる福音書 4章35〜41節

聖書の中でイエスが起こされた奇跡の記事を読むとき、最も受けいれ難いのは自然現象に関するものでありましょう。今日読む箇所で、イエスは嵐の中で眠り続け、弟子たちに起こされたときに、風を叱り、湖に『黙れ。静まれ。』と言われると、風はやみ、すっかり凪になった、という奇蹟が起こったことが記されています。
「いったい、この方はどなたなのだろう。・・・」(41節)という弟子の最後の言葉は、イエスが復活なさるときまで弟子たちの心の中で繰り返されていたのでありましょう。人間の常識で把握することができない方、天地を創造された父なる神と同格であることを弟子たちにはあらわされたのです。神と人とが互いに信頼しあう関係を築こうとする姿だと、この箇所を読むと改めて思います。主イエスとの活動のために一緒に生活をして様々な奇跡的な働きを見てきた弟子たちでありましたが、今日読む箇所で、自然の力に優るイエスを見て、その驚きはいかばかりだったでしょうか。病を癒すという奇蹟なら、まあ受け入れられたけれども、自然の脅威に対してそれを支配なさるお方であるということは、自分たちの信仰ではおさまらないことだったでしょう。あらためて、イエス・キリストは救い主であること、人間が関わる全ての領域において支配者であること、そしてその方が生活の惨苦の中で人に伴われるお方であることを、証言している箇所です。陸地で起こったことではなく、弟子たちが乗り込んだ舟の中でこの奇蹟は起こりました。どんな大変なことが起こってもその舟から逃げ出すことができない状況の中で、イエスは共におられるのです。最も身近な弟子たちにイエスはご自身の本質をあらわして、彼らを教えてその信仰を導かれます。「なぜ怖がるのか。まだ信じないのか。」(40節)と言われるイエスの言葉が今の私たちまで届きます。毎回の礼拝において、応答し続ける私たちでありますように。

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