神の呼び名に注目しよう!

2022年7月31日(日) 第五主日礼拝

宣教者 高見龍介牧師

創世記 17章1~8節

旧約聖書において、神様は4つの呼び名で呼ばれています。4つの呼称それぞれに意味があり、聖書記者はそれぞれの文脈・文意に応じて、それらの呼び名を使い分けているのです。
① 神 「エロヒーム」― 裁判官として法の決着時に登場する者。
② 万軍「ツバオット」― 悪人との戦いにおいて先頭に立つ者。
③ 主 「アドナイ」 ― 被造物への慈愛・慈悲の主体者。
④ 全能「シャッダイ」― 罪の帳消しや恩赦の権限を持つ者
創世記17章1節で、神様は「私は全能の神である。あなたは私に従って歩み、全き者となりなさい」と語っておられます。ともすると私たちは、この「全能」という言葉を、何でもできる「万能」、「オールマイティー」という意味に解してしまうのです。確かに神様はオールマイティーな外的な力をお持ちの方です。創世記15章で、アブラムが信じたように、神様はその万能な力、雄大さ、精巧さ、その匠の業により全世界、宇宙を支配しておられる。ゆえに神様のなさることに不可能はないと断言することができるのです。しかしながら、神様はそのような外的な力だけを行使される方ではないのです。それは「私は全能の神、シャッダイの神である」とおっしゃられているように、神様という方は私たちの内面に深く入ってこられ、その繊細な思いをもって私たちの弱さや痛みに共感してくださり、私たちの罪を赦して、なおも私たちを祝福へと導いてくださる方であるのです。この真実のゆえに、創世記15章および16章で、神様への不義に生きたアブラムも罪赦されているのであり、なおも17章では、より具体的な祝福の約束、恵みの約束を受けているのです。
私たちの神様は、私たちに慈愛・慈悲を注いでくださるアドナイの「主」であり、私たちに代わって私たちの不義・罪と戦って下さるツバオット「万軍の主」であり、そして私たちの不義を完全に取り除き、その罪を赦してくださるシャッダイ「全能の神」であるのです。そして、これら神様の本性を余すところなく、その生涯と十字架において示してくださったのが、私たちの主イエス・キリストであり、かくしてこの主の奉仕により、裁判官であるエロヒーム「神」は、私たち人間の命を誰一人として損なうことなく、その不義を処断し、神の正義と愛の支配を同時に実現させるという驚くべき裁定を下すことができたのです。

コメントは利用できません。