2020年6月21日(日) 第三主日礼拝
宣教者 高見龍介牧師
サムエル記下 19章1〜9節
ダビデ王の治世にクーデター未遂事件が起こりました。その事件の首謀者はダビデの三男アブサロム。野心家の彼はBC972年、父ダビデ王に対し反旗を翻します。アブサロムは以前、ダビデが寵愛していた長男アムノンを騙し討ちにして暗殺するという事件を引き起こしていました。この時アブサロムは、外国に逃亡せざるを得ないくらい、父ダビデの怒りを買ったのですが、それでも彼は父に赦され、再び都に迎え入れられていたのです。ところが彼は、いつしか父親の恩も赦しもすっかり忘れてしまい、王位奪取のために父ダビデの命を狙い始めました。このことのゆえに、さすがに寛大なダビデも、この不肖の息子が起こした謀反には、深く心が傷つけられていたと思われます。
その後、ダビデ軍とアブサロム軍がエフライムの森で剣を交えることになった時、ダビデは家臣たちに、「若者アブサロムを手荒には扱わないでくれ」と命じます。アブサロムは自分の命を狙う敵、そればかりか実の父親の命を狙う血迷った人間、しかも一度、過去の罪、咎を赦されているのに、その恩をあだで返そうとする愚か者。これだけ屈辱的なことをされながらも、父ダビデはなおもアブサロムを赦そうとしたのです。そしてこれこそが、本当の父親の愛情というものなのでしょう。
しかし、神の愛は、この父親の愛をはるかに凌駕する愛をもって私たちに迫ってきたのです。最終的に城門に立ったダビデには、罪人アブサロムを救うことはできませんでしたが、城門の外に立ったキリストは、罪人全ての命を救い、私たちに完全なる神の愛と義を示してくださったのです。