二代目の生き方

2023年10月15日(日) 第三主日礼拝

宣教者 高見龍介牧師

創世記 26章1~14節

父アブラハムの時代に続いて、その子イサクの時代にも大きな飢饉が起こりました。この困難を乗りきるために、イサクはエジプト行きを決断します。このエジプト行きには2つの理由がありましたが、まずその第一の理由は、人間の常識的な判断によるものであったのです。この飢饉は干ばつ、すなわち水不足でもたらされた災害であったがゆえに、通常の私たちであれば、「もっと水が豊富な地域に移動すれば、問題は解決する」と考えます。そこでこのイサクもまた、この常識に則り、水が豊富な地、世界一の大河ナイルが流れるエジプトに避難することを決断したのです。そして第二の理由は、父親のまねをしようとしたからなのです。実は父アブラハムも飢饉があった時、エジプトに避難しているのです(創世記12章)。しかも、エジプトからカナンの地に帰ってきた時には、アブラハムの財産が増えていたために、イサクは親父のやった通りに行動すれば、きっと成功するのだろうと考えてエジプト行きを決断したのです。
しかし、神はこのことを良しとされず、イサクのエジプト行きをご自身の手で阻止されたのですが、そこにもまた2つの理由があったのです。その第一の理由は、神から賜った約束の地を、いとも簡単に捨てようとするイサクの過ちを正すためであったのです。確かに今は凶作で、約束の地も不毛の地と化していましたが、このような悲惨な状況の中にこそ、神が生きて働いていることを教えるためであったのです。そして第二の理由は、神の御言葉に聞き、その戒めを守ることこそが、祝福の道であることを教えるためであったのです。イサクはそれまで、成功者である父アブラハムの辿った道、そのまねさえすれば祝福に与ることができるのだと勘違いをしていたのです。しかし、本当の祝福は、『神の御声に聞き従い、その御愛に信頼して生きること』によって与えられるものなのです(これが創世記26章の一貫したテーマなのです)。実に父アブラハムが成功したのも、この『神の御声に聞き従い、その愛に委ねて信仰に生きた』からに他ならないことを、私たちはしっかりと押さえておく必要があるのです。

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創世記26章1〜14節

26:-1 イサクのゲラル滞在
26:1 アブラハムの時代にあった飢饉とは別に、この地方にまた飢饉があったので、イサクはゲラルにいるペリシテ人の王アビメレクのところへ行った。
26:2 そのとき、主がイサクに現れて言われた。「エジプトへ下って行ってはならない。わたしが命じる土地に滞在しなさい。
26:3 あなたがこの土地に寄留するならば、わたしはあなたと共にいてあなたを祝福し、これらの土地をすべてあなたとその子孫に与え、あなたの父アブラハムに誓ったわたしの誓いを成就する。
26:4 わたしはあなたの子孫を天の星のように増やし、これらの土地をすべてあなたの子孫に与える。地上の諸国民はすべて、あなたの子孫によって祝福を得る。
26:5 アブラハムがわたしの声に聞き従い、わたしの戒めや命令、掟や教えを守ったからである。」
26:6 そこで、イサクはゲラルに住んだ。
26:7 その土地の人たちがイサクの妻のことを尋ねたとき、彼は、自分の妻だと言うのを恐れて、「わたしの妹です」と答えた。リベカが美しかったので、土地の者たちがリベカのゆえに自分を殺すのではないかと思ったからである。
26:8 イサクは長く滞在していたが、あるとき、ペリシテ人の王アビメレクが窓から下を眺めると、イサクが妻のリベカと戯れていた。
26:9 アビメレクは早速イサクを呼びつけて言った。「あの女は、本当はあなたの妻ではないか。それなのになぜ、『わたしの妹です』などと言ったのか。」「彼女のゆえにわたしは死ぬことになるかもしれないと思ったからです」とイサクは答えると、
26:10 アビメレクは言った。「あなたは何ということをしたのだ。民のだれかがあなたの妻と寝たら、あなたは我々を罪に陥れるところであった。」
26:11 アビメレクはすべての民に命令を下した。「この人、またはその妻に危害を加える者は、必ず死刑に処せられる。」
26:12 イサクがその土地に穀物の種を蒔くと、その年のうちに百倍もの収穫があった。イサクが主の祝福を受けて、
26:13 豊かになり、ますます富み栄えて、
26:14 多くの羊や牛の群れ、それに多くの召し使いを持つようになると、ペリシテ人はイサクをねたむようになった。

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