2023年5月21日(日) 第三主日礼拝
宣教者 高見龍介牧師
マタイによる福音書 8章 1節~ 4節
「ダミアン神父は、ハワイのモロカイ島で、その生涯をハンセン氏病を患う人々のために献げられた人です。ダミアン神父が初めて渡った頃のモロカイ島は、実に悲惨な島でした。神経を犯されたハンセン氏病の患者が、かずらの根から採った強烈なお酒をあおって、しばしのうさをはらしていたり、政府の役人が桟橋に投げ下ろす食べ物を、ばくちで奪い合うといった具合で、ハンセン氏病を病む者の島、モロカイは酒と女とばくちの島と化していました。
1873年、この島に渡ったダミアン神父は、1889年、49才でその生涯を閉じるまで、天を恨み、人を呪って生きていたハンセン氏病を患う人々の友となり、彼らの傷口を洗ってやり、その膿を拭きながら、慰めの言葉を彼らに与えては、彼らのために神に祈り、救いの道を説いたのでした。また彼は、ハンセン氏病を患う人々のために1600の墓を掘り、自分の手で1000個の棺を作って、彼らをねんごろに葬りました。それは実に並々ならぬ愛の働きでした。しかし、彼がどれほどハンセン氏病を病む人々を愛していたかは、44才でハンセン氏病に感染した時、故郷の兄さんに書いた手紙によって知ることができます。『イエスのためにハンセン氏病者になることは、私の平素からの願いでした。自分がハンセン氏病になって初めて、私は彼らの痛みを自分の痛みとし、彼らの苦悩を自分の苦悩とすることができました。私は本当の友となる資格ができたことを、神に感謝しています』。何という崇高な愛の持ち主でしょう。太平洋の孤島で望みなく生きていた人々のために、その尊い生涯を献げ尽くしたダミアン神父。この人もまたキリストの愛によって生かされたおひとりであったのです。」
正木 茂著 「この日この朝」より)
ダミアン神父の働きはすばらしいですね。彼もまた、キリストに倣い、山を降った人物でした。キリストは「神の高み」にとどまることなく、私たちの絶望世界に降ってきてくださった神様です。このような方に愛され守られているのですから、私たちも現実を恐れることなく、ダミアン神父のように山を降りる生き方に生きなければなりませんね。