天の国と地の富

2022年6月26日(日) 第四主日礼拝

宣教者 山本弘夫伝道主事

マタイによる福音書 19章16~30節

一人の男(青年)が、イエスに近寄ってきて「先生、永遠の命を得るには、どんな善いことをすればよいのでしょうか。」と尋ねます。
イエスは「善い方はおひとりである。もし命を得たいのなら、掟を守りなさい。」と答えます。
そして青年の「どの掟ですか」との質問に対し、「殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証するな、父母を敬え、隣人を自分のように愛しなさい。」と答えます。ここに書かれている戒めは、モーセの10戒のうち人間関係についての戒めです。ただ、レビ記19章18節の隣人を自分のように愛しなさいという戒めが加わり、隣人のものを欲しがるなという戒めが抜けています。人間関係に関する大事な戒めが並んでいると言えます。
これに対し青年は、「そういうことはみな守ってきました。まだ、何か欠けているでしょうか。」と答えます。
イエスは、「もし完全になりたいのなら、行って持ち物を売り払い貧しい人々に施しなさい。そうすれば天に富を積むことになる。それからわたしに従いなさい。」と語ります。たくさんの財産を持っていたこの青年は悲しみながら立ち去ります。
イエスのこの言葉が自分に語られたと考えると大変に厳しい言葉です。しかしザアカイは財産の半分を施すといい、アリマタヤのヨセフもニコデモも金持ちでしたがイエスの弟子です。財産をもっている人が全員で財産を売ろうとしたら経済社会が成り立ちません。イエスのこの言葉は誰にでもあてはめられるわけではないと思います。
ただ、地上の富への思いが神様との正しい関係を妨げる場合があります。そうした場合、富への執着は直ちに断ち切る必要があります。

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