この木なんの木、気になる木

2022年1月9日(日) 第ニ主日礼拝

宣教者 高見龍介牧師

創世記 12章6〜9節

カナンの地に到着したアブラムは、シケムのモレの樫の木の下に天幕を張り、そこで神様から2つの約束を与えられました。それが、①「子孫の繁栄」と②「土地の授与」の約束であったのです。この2つは、①生産力の保証と、②生産手段の保証を示すものであり、人間の生を支える基本的な構成要素となるものなのです。私たちが安定的に生活していく上で、②の生産手段である土地は欠かせません。土地がなければ、穀物(食料)を作ることはできませんし、家畜を飼育することもできません。土地こそが、私たちの生を支えているのです。また、その土地を耕作し穀物を育て、家畜のお世話をする人がいなければ、私たちの命をつなぐ食料を生み出すことはできません。それゆえ、物を生産する人の存在、生産力を象徴する子孫繁栄もまた、私たちの生を支えるたいへん重要な要素となるものです。
たとえば、近年の中国は、②の生産手段獲得のために海洋進出を推し進めています。国の繁栄のためには、土地(資源)の獲得は絶対不可欠なものであるからなのです。21世紀に入って爆発的な経済成長を遂げた中国、今後数年のうちに「アメリカを抜いて世界一の経済大国になるのではないか?」との見通しもあるようですが、実はそうはならないという意見をもった経済専門家もいるようなのです。なぜなら、この先の中国は、以前行われていた「一人っ子政策」のおかげで労働者人口が減少し、①の生産力が減退していくことが予測されてからなのです。このようなわけで、人間の生と繁栄を支える重要なポイントとなるものは、①子孫繁栄と②土地の獲得であるということが、現代の世界情勢からも窺い知ることができるのです。
そして、この2つの約束がアブラムに与えられたということは、彼が絶対的に神様から祝福されていることを証しているのです。このアブラムのように、真の神様を求め、神様の御言葉に信頼し、神様の御業に参与しようとする者の上に、神様の祝福は臨みます。そして私たちこそ、真の神様に出会い、神様の御業(神の国の実現)に参与するために、新しいイスラエルとして召し出された者。私たちには、この人間の生と繁栄を支える神様の祝福が、主イエス・キリストの十字架と復活のゆえに約束されているのです。この真実を知って、これからも恐れずに人生を歩んでゆきたいものです。

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